日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2021年12月21日人間関係をよくするために相手の話を聴き切ろう!

先日、日本話し方センターのベーシックコースで、受講生のYさんが次のようなスピーチをしました。Yさんは職場ではベテラン社員で、後輩社員の仕事振りや仕事に対する姿勢が甘いと感じていたそうです。そのため、毎日後輩たちにダメ出しをしてはぶつかっていました。そんな日常に疲れ果て、自分のコミュニケーションを見直そうとベーシックコースを受講しました。

そして、教室に通っているうちにある気付きを得てそれを実践したところ見事に後輩達との人間関係を改善することができたそうです。さて、Yさんが職場の人間関係を変えることができたポイントは、何だったと思いますか?
それは、「人の話を聴く」ということだったのです。



それまでYさんは後輩社員に対して一方的に厳しく指導するだけで、彼らの話は殆ど聞かなかったそうです。しかし、話し方教室で「話し上手は聴き上手」ということを学び、職場で後輩達の話をしっかり聴くことを実践しました。その結果、職場での人間関係が劇的に改善したのです。

相手がちゃんと話を聞いてもらったと思うまで人の話を聞く。これを実行するためには、自分の感情を横に置いて相手の話を冷静に聴くことが必要です。人は内面に、感情的な側面(「自我」)と、客観的に自分を見つめる側面(「自己」)があります。人の話を聴くとき、感情的になりがちな「自我」を抑え、できるだけ冷静な「自己」を意識して聴くことが大切なのです。
この聴き方の効果は、主に3つあります。

1つ目は、相手の考えがより適切につかめて会話や議論を噛み合わせることができるということです。
人の話を「自我」で聴いていると、話の途中で「ああ、そういうことね」と早呑み込みしてしまいます。そして、そのことについて自分の意見が言いたくなり、我慢できなくなって相手の話しを遮ったりします。これでは、相手の話の真意がくみ取れませんし、話し手も気分を害してしまいます。これに対して客観的な「自己」で話を聴くと、最後まで聴く余裕を持つことができます。話の趣旨を誤解することは少なくなるのです。

2つ目は、相手の話に感情的な反応を示すことが少なくなるということです。
感情的な「自我」で話を聴いていると、相手の言っていることを否定したくなることが多いです。その流れで話し始めると、話し方は勢い感情的なものになってしまいます。しかし客観的な「自己」で話を聴けば、自分の感情はある程度抑え込めています。そのため、自分が話をする番になっても相手に聞いてもらうことを意識して冷静に話すことができるのです。

3つ目は、相手と論理的に話ができるようになるということです。
感情的な「自我」が前面に出てくると論理よりも自分の感情が優先されてしまいます。しかし客観的な「自己」で話を聞いていると「この人はどうしてそう考えるのだろう?」と、話の背景を考える余裕ができます。その分、冷静に相手の真意を考えることができ、より論理的に話を進めることができます。

著名な経営学者のドラッカーが、その著書「経営者の条件」でエグゼクティブが成果を上げるための8つの習慣を述べた後、「もう一つおまけを加えたい。余りに重要な事なので、原則に格上げしたいくらいである。聞け、話すな、である。」と書いています。皆さんも、人の話を徹底的に聴き切ることを意識してみてはいかがでしょうか。

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